「SBヤマトは無かったことにする傾向が見られる場合がある」
「たとえば?」
「ヤマト2199の原画展に貼ってあるヤマト年表に復活篇も2199も載ってるのにSBヤマトは無い」
「ふーん」
「それで気づいたのだが」
「なに?」
「WikiPediaの薮助治の項目に実写映画版『SPACE BATTLESHIP ヤマト』での俳優は水上潤と書いてあるのに、アニメ『宇宙戦艦ヤマト』『宇宙戦艦ヤマト2199』の登場人物と断言されていて、しかもヤマト1974と2199の劇中での活躍は詳細に書いてあるのにSBヤマトのことは見出しすら立っていない」
「つまり、それは何が言いたいのだい?」
「藪をつついて蛇を出した」
「ひ~」
「結局、あちこちでSBヤマトを無かったことにしよう、無かったことにしようと画策する動きがあるのだが、そうは言っても2199の森雪をパイロット扱いしようとすると、どうしてもSBヤマトがちらつく」
「君はどうなんだよ」
「結局黒木メイサは格好良かったし、マイコの相原も格好良かったし、高島礼子の佐渡先生も良かった。別に欠陥が何も無いとは言わないが、良いものをみせてもらった印象は残るぞ」
「欠陥があってもいいの?」
「欠陥のあるヤマトなんて普通にゴロゴロしているぞ。それを問題にするとほとんどのヤマトは消えて無くなる」
「ぎゃふん」
「結局さ。ヤマトの評価は欠陥の有無ではできない。客の目に入ったとき、欠陥がどこまで致命傷になっているのかで決まる」
「その致命傷の判定も見ている客次第ってことだね」
「そうだ。人によってジャッジは異なる」
「たとえば?」
「木村拓哉という名前をプラスに思うかマイナスに思うかでもう映画の印象も180度逆になっていると思うよ」
それは2520の再来 §
「結局、SBヤマトを無かったことにするのは、2520を無かったことにして進行するのと同じだな」
「その心は?」
「ファンにしこりを残す。SBヤマト好きだった人もいれば2520好きだった人もいるのに、あざ笑われて跨いで通られる状況が続けばそれは良いことでは無い」
「そいえば【さらば】も」
「そう。【さらば】を無かったことにして進行するヤマト2以降のストーリーも大いにしこりを残した」
「ヤマトの歴史って……」
「割り切れない感情のもつれで一杯さ。SBヤマトが始めて噴出した問題だと思うなよ」
「どうすればいいんだよ」
「だからさ。最初に【あなたのヤマトは何ですか?】という問いかけからスタートする。それを抜きに自分の信じるヤマトだけを正義であるかのように語り出すと話がこじれる」
「ヤマトファンは一貫しない価値観を持った曖昧な集団ということだね」
「他のどんなものでも同じではあるけれどね」